稜線が見えるあたりだったろうか、
天狗原への分岐となる。
ここを左に折れると、氷河公園などとも
呼ばれているらしい天狗原に出るが、
その辺りに池面に槍ヶ岳が逆さに写る、
天狗池がある。
今回の山行でも期待していたところだ。
この天狗原には、槍ヶ岳山荘を後にして、
南岳、穂高に向かう途中でも、下ることができる。
10月2日の第1日目に、息を弾ませながら、
その槍沢ルートの天狗原分岐で休んでいると、
その天狗池の方から下山する男性が来た。
稜線からの天狗原へのルートは急坂、
ガレ場、鎖、梯子で厳しい道と情報を
得ていたので、実際にどんな感じか、聞いてみた。
悪天候の時は、考えた方が良いが、
天候がよければ大丈夫、とのことで、
翌日の10月3日は、頭に描いていた通り、
稜線から天狗原に下ることにした。
厳しかったが、慎重にいけば大丈夫。
コル部分がちょっと分かりにくいが、
ペイントを頼ればよい。
そして、天狗池。
それまでも素晴らしいU字谷を見せて
くれていたが、さらに天狗池。
おー、槍ヶ岳が逆さに写っている。
写真の腕のない私でも何とか、
逆さの槍ヶ岳を写した。
そこは、多くのカメラマンが三脚で
シャッターチャンスを狙っている場所でもあった。
私は、1枚撮れば充分なので、その場所を離れて、
槍沢の天狗原分岐の方に向かうように歩き始めた。
池の向こう側に登山道がついているのだ。
そこで少し息を整える為に、一度立ち止まった。
その時、「そこで立ち止まらないで。」
「何?」
すぐに頭に血が上った。
登山道で、「立ち止まらないで」?
落石があるような場所で、親切に注意
してくれたわけでもない。
まったく不合理な言葉。
だから、一度進んだ道をもう一度
引き返しながら、誰が今、「立ち止まらないで」と
言った、と問いただした。
池のほとりにどっかり構えたカメラマンが手を上げた。
そのカメラマンのところに向かった。
その後のことは想像に任せますが、
私が怒っていたことは、お分かりかと。
そもそも、登山道で、立ち止まるなとは、
どういうことなのでしょう。
そのカメラマンは、親切に危険を知らせて
くれたわけでもありません。
ただ、私がたまたま、そんなこととは知らずに、
息を整える為に、立ち止まったところが、
池面に逆さの槍ヶ岳が写る、その一部と
なっていたということです。
つまり、絶好のカメラマンスポットであり、
当日は、絶好のシャッター日和であったものを、
わずか、10数秒、私が「邪魔」をしたということです。
でもちょっと待って。
そこは、登山道。
カメラマンの私有地でも何でもありません。
そもそも、「立ち止まらないで」と言う
権利も何もありません。
そのカメラマン、要するに、自分の写真が
撮りたいばかりに、登山者が息を整えるのも
我慢できず、「立ち止まるな」と言ったわけです。
こんな不合理ありますか?
登山道はそのカメラマンのものなのでしょうか?
自分の写真を撮る為に、他人が息を
整えるのも控えさせようと言うのでしょうか?
同じ論理を用いて、その池のほとりに
居るカメラマンに対して、
「そこにすわないで下さい」と頼みました。
そういうことでしょ。
そのカメラマンが私に言ったことは。
怒りは収まりません。
その不合理なカメラマンの写真を
公開しても良いのですが、それは、やめときましょう。
もう一度、聞きますが、天狗池に写る槍ヶ岳は、
あなたのものなのですか?
登山道を通る人に対して、「立ち止まらないで」
などと言うことができるのですか?
いい加減にして下さい。

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