前日までの雨で腰近くまで増水していて流れも速く、最初の渡渉でビビッテしまった幌尻岳であった。
北海道の残り三山を夏休みに登ろうと思い、少し移動を考えると強行日程であるが3泊4日で計画した。羽田発1番の新千歳空港行きで北海道に向かう。羽田空港で預け入れした荷物の中で山のコンロが引っかかり荷物を全部出して不慣れな女性係員に説明し、なんとか許可を貰い預ける事ができた。(ガソリンがコンロのタンクに入っていることは聞かれもしなかったので黙っていた。)帰りの新千歳空港では慣れていて山のガスコンロは持ち込み禁止と表示してある。私のはガソリン使用のコンロであるが中身のガソリンを全部抜き、予熱用の固形燃料も没収されたうえでコンロ本体は預け入れを了解された。10月に宮之浦岳に登るため鹿児島に行くときは羽田空港でも誤魔化しが効かずガソリンは全部没収されてしまった。
新千歳空港の気温は17℃、最高気温が久しぶりに20℃を超える予報であった。この年の北海道は天候不順で昨日まで雨の多い、気温が低い天気が続いていた。空港でレンタカーを調達して幌尻岳登山口である平取町振内の林道ゲートに向かう。ゲート付近の駐車場は満杯で林道路肩に駐車している車が多かったが車が小さかったのでゲート近くのスペースに半ば強引に駐車する。
12時にゲートを出発。取入水ダムまでは深く切り込んでいる額平川沿いの林道歩きとなる。ダムからはヘツリ部分もある急な登り下りの登山道となる。最初の渡渉ポイントに着き、短パンに履き替え、登山靴から沢靴に履き替える。沢靴はこの日のために安物であるが購入した。準備は出来たが水流が早く、深そうで何処を渡渉して良いのか判らない。誰か降りてこないかなと待つが人は見当たらない。意を決して渡り始める。ガイドブックでは膝位の水量と書いてあったが腰近くまであり、流れが速く身体が倒れそうになり、沢靴も脱げそうである。昨日までの雨で水量がかなり多い様である。グズグズしていると水の冷たさで足が痛くなり始める。背中のザックの底が水に濡れるのを防ぎながらなんとか渡りきる。今まで腰くらいの深さの渡渉は経験しているがこれほど流れが速くなく危険は感じなかった。正直言って、この最初の渡渉でビビッた。この先この様な渡渉を繰り返すのかと思うと引き返そうかと弱気になる。しかしこの最初の渡渉が一番、難儀したが、最初にパンツまで濡れてしまったら後は濡れる事も気にならなくなり大胆になり沢に入ることができた。4回目の渡渉で先行の夫婦連れと思われる二人組が渡っていたが男性が沢の中央で滑り転倒しあっという間に5m近く流された。幸い独力で這い上がることができたがそれを見たらまた渡るのが怖くなった。私は沢靴なので少しは滑りにくいため同じ箇所を難なく渡りきることができた。渡渉は15〜16回程、繰り返したが最初の渡渉ポイントと幌尻山荘近くが頻度が多い。1時間の沢歩きで山荘に無事、到着。
直ぐに濡れたパンツ、ズボンを履き替え一息付くことができた。山荘は8月1日から管理人が常駐しているが人の整理はしないため混雑はひどく、早いもの勝ちで好き勝手な場所を占有している。私は寝袋持参したが毛布1枚を貸してくれて宿泊料1000円は空いていれば安い気がする。遅く着いた私はかろうじて入口ドア近くに場所を確保できたが人の出入りが多いうえに夜中の2時半には起き出して出発の準備をする人が多くとても寝てはいられなかった。3時半には管理人が自家発での電灯を点けるので私も起きて出発の準備を始める。
山荘を4:45出発する。最初の1ピッチは胸焼けの状況で吐き気がする。林の中の急登を膝に神経を使いながら歩いているうちに調子も良くなる。8月であるがあまり暑くないのが救われる。尾根に出てすぐの水場・命の泉は少し下らなければならず水も充分に持って来ているので行くのを止めた。この付近から北カールまではブヨが多く纏わり着き嫌になる。北カールの縁まで来ると今まで見えなかった幌尻岳が眼前に大きく迫っている。戸蔦別岳の三角形のピークも形が良い。ここからカールを巻く道は高山植物が素晴しかった。ミヤマアズマギク、ウサギギク、イワキキョウ、タカネグンナイフウロウ、ナガバキタアザミ、チシマキンレイカ、ミヤマリンドウ、シナノキンバイ、ツマトリソウ、イブキトラノオ・・・・などの花が咲き乱れていた。
頂上は意外と人は少なく7〜8人しかいなかった。風が強くて寒い。パンと梨を食べてすぐに退散する。時間があれば七つ沼カール、戸蔦別岳を回りたかったが今日中に十勝岳近くまで行かなければならないので後ろ髪を引かれながら往路を引き返す。幌尻山荘に戻り昼食後、濡れたままの短パンと沢靴に着替えて渡渉を繰り返しながら下る。昨日、経験している上に、昨日よりも水量が少なくなっているので恐怖心は消えていた。下りで膝が水で冷えて痛まないか心配したが痛む事もなく下る事ができた。むしろ履き慣れない沢靴で靴擦れができてそちらの方が痛かった。第1渡渉点まで戻り、今回の三山で一番心配していた幌尻岳を無事終了した事にホットしながら登山ズボン、登山靴に履き替える。
ゲートから林道を車で走らせていると目の前を蝦夷鹿の親子4頭が飛び跳ねながら林道を横切る。車から降りてビデオを回してもしばらく私の方を好奇心旺盛で見ている。お陰でゆっくりと撮影する事ができた。更に10分位、走るとまた鹿が横断し林道脇に立ってこちらを見ている。徐行しながら脇を通り抜けるが逃げることなく私を見ていた。
私と百名山 97.幌尻岳(2002年8月15日)
コメント
2008年09月28日, 12:34 1470 wrote: | No Trackbacks
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富士のヒデさん、こんにちは
記録を調べたら幌尻に同年の7月10日に登っていました
幌尻の場合やはり渡渉がポイントですね
幸い膝下までの水位だったので難儀せずにすみました
それでも最初の一歩は緊張しました
七ツ沼カール、私も諦めました
天気予報で翌日が雨の予報だったので小屋に泊まらずその日のうちに下山することにしたからです
結果は正解でした
あとから聞いた話では翌日は増水のため渡渉できずに小屋に缶詰にされたようです
再挑戦して七つ沼カールには是非行ってみたいと思っています
2008年09月28日, 17:37 1044 wrote: | No Trackbacks
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nipeさん、こんにちわ
そうですか、同じ年に登っていたんですか。
小屋が混雑していたのは私が小屋に入った日は水量が多く、下るのを1日延ばした人もけっこう居たためでした。
幌尻岳は前後の天気を確認して登らないといけないと思い知らされました。
富士のヒデ
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