兎にも角にも11:57分に登山道を発見した。だが薮の中を滑り降りる途中,あのずり落ちそうになりながら登ったガレ場は見なかった。それは、この登山道が道を見失った所より前方だと言うことを意味する。それに気づいて下山するのを止め、登り方向に向かって歩くとすぐに広いカール状の原っぱに出た。一帯は溶岩が点々とする平原でアオノツガザクラの大群落が見られた。
先刻来の激しい登降で右足の大腿部が硬直して引きつってきたのでその一画に座って周囲の景観に浸りながら休み、英気を養う。一度はガスに覆われて怪しくなりかけた空が再びパァ〜ッと晴れて涼しい風が吹き、花に囲まれて気分が爽快になると富士見峠を見極めたいと言う意欲が湧いて来るのを覚え、2つ目のおにぎりを食べて立ち上がる。
12:05発。そこからの道は刈り払ってはあるもののネマガリダケの鋭い切り株があったりオオイタドリに覆われたりして決して歩きやすくはなかったが、行く手に焼山〜金山の稜線と富士見峠であろうと思われる鞍部が見えるのが何よりの強みで、加えてハクサンフウロやエゾシオガマ,キンコウカ等の高山らしい花に彩られた周辺の雰囲気に魅せられて気分よく歩くことが出来る。
4年前に宮下健司氏から『焼山の西に広がるお花畑を通って越後早川から信州に抜けるもう1つの善光寺街道がある〜』と聞かされて以来,夢に描いてきた楽園のようなそのお花畑に無数のアサギマダラが舞う中をゆっくり歩いて富士見峠に着く。時刻は12:32。
そこから裏金山や金山は指呼の間であるし、見上げれば東には焼山の岩峰が屹立している。北側を覗けばすぐ下にも湿地帯があってそこにも花が見えた。稜線を20分も歩けば『泊岩』まで行けるだろう・・,だが疲れていたし明るいうちに下山したかったのでこの日はそこまでとする。12:50発,下山路へ。
信越古道は必ずしも富士見峠を通るものだけではなく、いくつかのルートがあるようで、また富士見峠を通る場合でも今回調査の杉の沢〜富士見峠のルート以外に金山を通って乙見峠,または前回調査した金山〜天狗原山ルートも考えられる。
このうち奥裾花渓谷を経て鬼無里に向かうとすれば乙見峠のルートが最も有利な道取りであるように思う。いずれこのルートも探索してみたいものだ。
ハクサンフウロ咲き アサギマダラ舞う
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