10:05,最後の水場を通過。ここまでの登山道は背丈の倍ほどもあるオオイタドリやネマガリダケの薮を切り開いたりしてよく整備されており、赤いテープの目印もよく目につくように取りつけられていた。
しかし、焼山の登りに入ってからはよく踏まれた間違いようのない道とは程遠い、よくもこんなところ道をつけたものだ感心するような道で、整備するにも難渋したであろうことが容易に推察できた。部分的には切った木の枝や葉が片づけられずに放置された所もあり、テープを探しながら歩くのも容易ではなかった。
10:37,小休止しておにぎりを食べる。10分後出発。道はジグザグを切りながらも焼山の正面を避けて西へ西へと斜上して行く。
沢状にえぐれた場所をまっすぐ上に向かっていた赤い目印が突然消えた。沢状の部分を遮二無二登って突破すればそのうちテープが見つかるだろうと見当をつけて上に行くとガレ場の下に突き当たり、滑りやすいその斜面を慎重に這い登ってさらに上を目指す。
ルートからはずれていることは明らかだったがその斜面を登り切った上に小さな雪田があり、その上にもう1つ裸地の斜面があって踏み跡のような感じのものがあり、そこを登れば何とか稜線に出られそうな気がした。
ズルズルと滑り落ちそうな裸地の斜面を横切り、左の潅木帯に入って踏み跡を探したがそれらしいものはなく、そこからはカバノキとネマガリダケの薮漕ぎとなる。裸地の上に到達して行く手の左右を見れば樹間に空が見えるが、迂闊に横に移動すると帰りで道に迷う恐れがあるのでまっすぐ上に登る。潅木やネマガリダケに掴まって腕力だけで自分を引っ張り上げるのはきつく、たちまち腕が鉛のように重くなる。ともすれば横に逃げたくなる誘惑を振り切ってまっすぐ登るのは精神的にもきつい。
まっすぐ上がれば巨岩にぶつかることもあり、そう言う場合は左右どちらかに廻るしかないが、その場合は自分がどう動いたかを頭に叩き込みながらとにかくまっすぐ上に登ることを心がける。
11:27,斜面が幾分緩くなってそこにコケモモの実が群生している場所に着き、コケモモを頬張って喉を潤す。終らない斜面はない・・,と気張っては見ても2400m(後で知った)の山頂に向けて直登しているとするとまだまだ斜面は続く。(2100mくらいと思っていた)。
コケモモの広場からさらに斜面を10分ほど登ってようやく向こうに切り立った岩峰が見える位置まで来た(11:37)。小高い丘のようなその場所は、山頂から南に張り出した支尾根の末端と思われた。覗けばそこから下は断崖のようなもので、そこまではその断崖を這い登ってきたのだった。
その場所から岩峰までは厚い潅木帯でそこを突破する余力はすでになく、撤退を決める。
元の道に戻れるかどうかと言う不安を抱えながら、頭に焼きつけた岩や立ち木や倒木を辿りながら慎重に下る。途中まではよかったが、徐々に西に寄り過ぎている気がして左へ左へと修正しながら最後は適当にどんどん下る。最悪の場合でも来た道の1つ西の谷に下るかもしれないが、その行き着く先は最後の水場の沢の隣の枝沢で、そのさらに下は地獄谷である。
そんなことを考えながら下っていると突然見慣れた道に出た・・・,と思った。見慣れたと言うのはオオイタドリを刈った整備された道と言う意味であるが、さっき通った道のようにも見えた。
時刻11;57。とまれ、これで無事帰れると思って引き返そうとしたが・・・,『ハテナ?』 下る途中で明らかに西へより過ぎていたのに元の道に出られる筈はないではないか・・・?
薮の中をさまよう
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