1994年から約2年間,私は水上にいた。正確に言うと水上町藤原の葉留日野山荘と言う山荘に半年余り勤務していたが不当解雇に遭って解雇撤回の裁判を起こし、結審するまでの1年余りと併せて1年半を水上で過ごし、最後は沼田に転居した。
谷川岳をはじめとする上越国境の山々は魅力に富んでいたが、その頃は山どころではない苦しい生活の連続だったので、どの山にも登らず終いだった。ただ一度,山荘勤務の一環として上州武尊岳の調査登山を命じられて登ったのがこの時期の唯一の登山だった。
それから14年を経てようやく谷川岳に登る機会を得たのが今回の山行である。
天狗の溜まり場を9:07に出る。相変わらず展望の利かない中を花を見ながらゆっくり登る。天狗の溜まり場ではトリカブトの花を見た。またこの辺りからツリガネニンジンの仲間の何とかシャジンやシモツケソウが沢山見られるようになり。さらに高度を上げて1800m付近ではフウロソウが現れる。ハクサンフウロのようであり、少し違うようでもあり、しかしグンナイフウロでもないようで、やっぱハクサンフウロと言うことにしよか・・,って勝手に決めるな!
9:28,頂上に近い天神のザンゲ岩と言う大岩を通過。上方から元気のいい若者達の声が聞こえ、霧の中から木道を下って来る学生と思われる集団が現れる。最後尾のリーダーの『あと5分です』の声に前方を見上げると確かに頂上が近いと思わせる地形で、やがて右手に細くて高いケルンのようなものが現われ、左手に肩の小屋の赤い屋根が見えてくる。
そこからさらに草原を5分ほど登って9:45,トマの耳に到達する。この時点で前方にオキの耳が見えており、安心して写真を後廻しにしたところ、10分後にはガスに覆われてそれっきり見えなくなってしまった。刻々と変化する気象条件下であれば見える時に撮っておくべきであった。
何とかシジミ/何とかハハコ
しっかり休んで10:02発,オキの耳へ。10:15着。そこでもゆっくり休んでトマの耳が現れるのを待つ。下の方は好く晴れて緑の草地が美しいが、トマの耳は見えそうでなかなか見えず諦めて戻る。
10:40発,10分でトマの耳を通過し、同55,肩の小屋に寄る。きれいな小屋で売店があり、素泊まりは寝具なしで2000円とか・・。
11:05下山開始。この頃になって山頂を目指す人が多くなる。雷予報が出ていたので『ちょっと遅すぎないかい・・』と老婆心が出る。(実際,この2時間後には雷雨となった。)
11:30,天狗溜まり場下で休憩。振り返ると山頂下のケルンを頂点とする谷川岳南峰の屹立する姿が見え、ここに来て初めて谷川岳らしさを垣間見る。トマの耳の先端はそこからは見えないが、当初予定の下山コースである西黒尾根の道も好く見えた。上部が見えたのはこの時のほんの一瞬で、再び山頂がガスに覆われたのを潮に立ち上がる。
11:45発。滑りやすい鎖場を一気に下って12:05,避難小屋でまた5分休む。天神山から来たと思われる軽装の5人家族が着いて、上に行くかどうかを相談していたが、1年生くらいの末っ子がぐずっているのが気になり、天狗の岩までは無理ではないかと言い置いて下山する。この後の雷雨を考えるともっとハッキリ下山を勧めるべきだったと後悔する。
ロープウエイで天神平まで来て、その勢いでリフトに乗って天神山まで上がった人が避難小屋まで来るとしたらほんの30分しか歩いていないことになる。しかもその大半は下りである。そして本格的な登りはここから始まると言うことを考えれば、軽装の観光客が悪天に際して引き返すべき地点はここであり、だからこその避難小屋であるとするならば、この小屋には観光客に対する何らかの警告があってもいいのではないかと思う。
12:40,天神平に着いた途端に雨が降り始め、散らばっていた観光客が一斉にロープウエイ駅に殺到する。12:55,下山。













