今ではほとんどやらないから「あった」というのが正確な表現かも知れない。
渓流釣りというのは川の最上流部でやる事が多く川の流れの様子(渓相)も中流、下流域とはかなり異なる。
中、下流のように平地を流れる事は少なく段差がついているような所を流れたり滝などもたくさんある。
どこの川の上流部(源流)でもどんどん上まで詰めて行くと必ず大きな滝があって「魚止め」の滝とか「岩魚止め」の滝とか言う名前がつけられている事が多い。
ところが、である。
たいていはその滝のさらに上流にも岩魚はいることが多い。
ある程度の高さなら普段は越えられないような滝でも増水した時に岩魚は泳いで上って行くのだが到底越えられないと思われる高さの滝の上流にも姿があるから不思議なことだ。
確かに岩魚は普通の魚とは違う形をしている。
鯉やフナ、ヤマメといった魚よりはドジョウやうなぎに近い形をしていて水から出して地面に置いても倒れないでにょろにょろと這う事が出来る。
このやり方で水量の少ない川などでも背中を出して移動する事が出来るのだ。
「岩魚は歩く事が出来る」と言われている所以である。
しかしそうして「歩く」事が出来るのも平らな所か、傾斜があっても緩やかな所に限られるのだがどう見ても人間でさえも登るのに苦労するような急傾斜の上にも岩魚はいるのであるから不思議だ。
この事に疑問を感じていた賢パパであるがその理由の一つは人間のせいだと気がついた。
昔はそうでもなかったが現在はスポーツフィッシングとやらのブームでフライトかルアーとかで釣りをやる人が増えている。
湖でもそうだがこういう釣り人(しゃれた呼び方で「アングラー」と言うらしい)が釣りの対象となる魚を湖や池に放流して生態系を崩してしまい問題となっている。
渓流でも自分だけの釣り場を作ろうと目論む釣り人が密かに岩魚を生かしたままで運び上げ「まさかこんな所に?」と思うような場所に放流してそれが自然に繁殖したのではあるまいか?
こうして「魚止めの滝の上にも岩魚がいるのはなぜ?」という賢パパの疑問は解消されたのである。
ところがこの疑問に新たな説が名乗りを上げた。
今年の1月に賢パパが参加した何回目かの新年会の席上でその説は突然発表された。
発表者は賢パパの昔の上司で当時会社の経営陣のトップに近いところにいる人だった。
この大先輩は博学で飲むたびに面白い話を披露してくれるので一緒に飲む機会を楽しみにしている。
それに会社のトップに立っても決して偉ぶらない気さくな人柄で人気を集めていた。
残念ながらこの3月で定年退職され今では悠々自適の生活を送っている。
その大先輩の口から「新説」が発表された時の驚きと言ったらまさに「目からうろこ」ものであった。
もったいぶらないでその説を公開すると「鳥」が犯人だと言うのである。
かわせみなどの鳥がヤマメや岩魚と言った渓流魚を捕まえて食べているのは良く知られている。
この鳥達が魚を捕らえるとその魚をくわえたまま一旦木の上にとまる。
滝つぼで捕まえた魚をくわえて滝の上にある木の枝にとまる事は良くある事だ。
この時に間抜けな鳥がいて何回かに一回はくわえた魚を落としてしまうのだそうだ。
すると魚は「ラッキー」とばかり水の中に戻って生きながらえる事が出来る。
自然の営みの中でこういう事が繰り返されて魚止めの滝の上流にも新しい生態系が出来たのだと言う。
「なるほど」と納得せざるを得ない名説である。
写真は昨日の散歩の時に撮った花(ほたるぶくろ、がくあじさい)です。
本文とは関係ありません。













