
富士の折立から剣沢に至る縦走路は、前出の大走り分岐に続いて真砂岳・内蔵助山荘方面への分岐点(合流点)を通過し、別山を越えた分岐点で剣御前小舎方面への道を捨てて右手に下る。
その分岐点,合流点ごとに小さな標識があって、ガスで視界がない中ではそれが大いに頼りになる。13:51標識Aの大走り分岐点を、14:04標識Bの真砂岳分岐点を通過する。
14:10に真砂岳との合流点を通過し、さらに進んで14:47に別山方面への分岐点に到達すると、先行パーティーが直進して剣御前に向かう道を進むか別山を経由するかで迷っていた。
それは案内標識の直進路が写真の通り『残雪期危険』となって向こう側で剣御前への道と繋がるように書いてなかったからで、自分も一瞬どちらに行けばいいのか迷った。
丁度その時に別山から下りて来た2人連れがあり、女性に『内蔵助の山荘はどちらですか?』と聞かれたが、自分もよく分かっている訳ではなく間違って教えてはいけないので『分かりません。自分で地図を見て確かめて下さい』と答える。冷静に考えれば自分達が来た方を教えればよかったのだと気づいたが、何しろ2〜3歩離れると見えなくなるほどの濃霧であるし、自分もちょっと混乱しかけていた。
ここは標識を尊重して別山に向かう。ガラガラの岩場を登って15:08山頂着。寒いのですぐに下って15:27,反対側の分岐点に着く。

そこは剣御前方面(黄色い矢羽・左向き)と別山をトラバースする道(右向き手前),別山を経由する縦走路(右向き中),剣沢に下る道(右向き向こう側)が交差する変形十字路で、剣沢へは下りて来た別山に戻るような感じで右に鋭角に曲がって急下降となる。
一気に下ると花が湿性お花畑のそれに変わる。一刻も早く着いてテントに潜り込みたいところだが、こんな時にも@kiは花を見ることに余念がなく図太さを発揮する。
30分下って剣御前小屋からの道を合わせ、さらに10分下ると右手下の雪渓で雪を掘っている人が見え、その雪渓の下部を渡るとテント群が見えて16:13,剣沢CP場着となる。

09年7月31日(金) 室堂にて広島から夜行バスで来た@ki(29才美女)と合流。9:50発。一の越着10:52。同11:00発,ゆっくり登って体を山になじませる。
12:05雄山着。登山者多数。中学校の集団登山あり、みな立派な靴を履いている。
雄山の標高は3003mとなっているがこれは雄山神社のあるピークであって三角点の高さは2991m。神社には500円の参拝料を払わないと入れない。@kiが雄山神社を参拝すると言うので休んで待つ。
雄山は北アルプスの中でも第1級の展望台だが一帯は視界10m程のガスで何も見えない。
12:40発,大汝山・富士の折立を目指す。縦走路に入ると1人の登山者もなく、神社の喧騒が潮を引くように消えて静かな山旅となる。室堂側から湿っぽい風が吹く中、20分で大汝休憩所着。
大汝休憩所は避難小屋を兼ねていて緊急避難的に宿泊することができる。
40年ほど前,行き暮れて思案している女性を拾ってこの休憩所に泊めてもらったことがある。一般の山小屋ではないのだが食事も山小屋並みに出してもらえた。
小屋主の遠北邦彦氏は、当時売り出し中の上条恒彦氏を髣髴させる恰幅のいい人で、精悍な顔が破顔一笑,柔和でやさしい目になるのが印象的で、彼の物言いともてなしが嬉しかったのと、翌朝の大展望が素晴らしかったのとで、後年わざと遅い時刻に着き、行き暮れた風を装って再度泊めてもらったことがある。それが(多分)37年前のことで、このコースに入るのはその時以来である。
残念ながらその時は遠北氏には会えなかったが、さらに後年、氏が経営する仙人小屋で再会し、また民宿簗場荘にも投宿する等の交流を持った。
そんな想い出に浸りながら小屋のベンチに荷を下ろしたときに中から出てきた人が『雨が来るよ!』と言い、すぐにパラパラッと音がし始めて@kiが雨具を着る。
13:10発。10分で富士の折立の標識を見る。標識の50mばかり先のガスの中に小さなピークが霞んで見えているのが折立であろうか・・。
さらに進んで『内蔵助カール上部』と書かれた標識を見る。@kiにカールの説明を求められるが、言葉では説明できても展望がないので実物を見てもらえないのが何とも歯がゆい。
13:51,大走り分岐通過。ここから雷鳥沢に下ることが出来る。今回のコース取りでは、雷鳥沢をベースにして初日に立山三山を散策後幕営,2日目空身で剣岳頂上ピストンと言う案も提起したが@kiはこれを一蹴。縦走して早月尾根経由で馬場島に下ることを望み、この日は剣沢を目指すことになった。
この先のコースにはさしたる問題はないが、何しろ40年近く前のことなのでどのように歩いたかの記憶は無いに等しく、展望もないので出て来る標識を頼り前進するのみであるが、@kiはのんびりとハイマツの赤い芽やヨツバシオガマの写真を撮ったりしている。 続く