
午前1時。この夜,久々に賑やかな星空を見た。
天頂にC型も鮮やかな冠座と夏の大三角形。北に北極星の小熊座と北斗七星の大熊座。ひしゃくの柄に当たる4つの星から始まって牛飼い座の1等星アルクツルス(麦星)〜乙女座のスピカ(真珠星)に至る春の大曲線の真珠の星はすでに槍穂の山塊に没してオレンジ色の麦の星を残すのみ。
北東の空にはカシオペアに続くペガサスの大方形が駆け上がるものの御者座のカペラは未だ見えず、深夜を過ぎたとは言えやはりまだ夏の空。
アンドロメダのあたりからはじまる銀河は、大三角形を経て中心部とされる射手座の南斗六星付近でひときわ濃く白く、その中にめらめらと燃える金星と見まがうほど明るく大きな木星が星々を睥睨するかのようにドカンと居座る。
南天に猛々しく立ちはだかっていてこそのサソリ座。西空に横たわればさしものアンターレスも光弱々しく、眠げにしばたいて巨大惑星にひれ伏す。
銀河4丁目の華々しさから一転して南の空はあまりにもさびしく、フォーマルハウトがポツンと白々しく光ってそこは秋の空。
天頂に戻ってイルカと矢を探す。イルカはすぐに見つかったがそれとて何年ぶりのことか・・,信州と言えども里で見えることはめったにない。矢座はこの夜の暗さをもってしても見つかりにくかった。位置を忘れているせいもあるが、昔は探さなくても目についた。銀河の三角の中,アルタイルの近くにあって、イルカと矢はそれほど目立つ存在だった。
金星は太陽に近すぎて見えず、火星も土星も獅子の座とともに没して珍しく木星1人君臨するこの時刻。今宵ばかりは銀河さえもはばかってこころなしか控えめだったような・・,そんな夜だった。
賑やかに静かに星空が廻り、自分達もまた音を立てずに廻っているのだろう・・。

7月5日(土)
12時過ぎに山頂についてしまったので翌朝4時までの長い時間をどう過ごすかは大きな問題だ。いくら早発,早着を原則とすると言っても、それはまあ14時か15時までに着けばいいと言うくらいの意味で、午後になると雷雲が発生しやすいと言うのも大きな理由の1つなのだが、昼すぎからすることがないと言うのも困る。
しかしこの日は3女性の乾杯につき合って、普段口にしないビールを1本飲み干したお陰ですぐにテントの中にぶっ倒れてそのまま夕方まで寝てしまい、目覚めると17時を過ぎていた。前夜2時間ちょっとしか寝ていなかったので当たり前かも。
この日は東側にガスがあって西が晴れていたので夕方ブロッケンが現れるかもしれないと期待していたのだが、すでに日没の時刻は過ぎていてそのチャンスを逃した。尤も周りの人に聞いてみるとその時刻は西側もガスだったらしい。

明るいうちに夕食を済ませておけばいいものを、日頃から5時,6時に夕食を摂ると言う習慣がなく、早く食べて夜中に腹が減るのも困るのでぶらぶらして時間を潰していると、頭上に発生した積乱雲があれよあれよと言う間に急成長し始め、遠くで『ゴロン』と言う音がしたかた思うといきなり夕立が来てしまった。
慌ててフライを張ったのが精一杯で、のんびり夕暮れを楽しみながら外で夕食の準備をしようと思っていたのがテントに閉じ込められる羽目になり、中で湯を沸かしてアルファ米を湯戻ししたり、レトルトのカレーを温めたり紅茶を入れたりすることとなる。
気がつくと周りのテントはシンと静かで、早々と眠りに就いた人もいる気配。食事の準備にゴソゴソと音を立てるのも憚られる状況になっていた。みんな早い!

食べ終わると何もすることがなく携帯でブログ記事を1本書き、雨が上がったのを見計らって電波が飛ぶ位置をウロウロと探し回って送信を試みたがどこも圏外で送信不能。小屋の中から何とか送信することが出来たが、メールは送れるのにインターネットにはつながらず、ネット経由での記事の送信は諦める。
テントに戻って記事の下書きだけでもしておこうと携帯に向かうも、ピッピッと入力するその音さえ気兼ねするほど静まり返っているのでそれもやめて横になる。
夏はシュラフカバーに包まって寝るのが常なのに、今回は珍しく薄っぺらながらシュラフを持って来てその上ウールのセーターまで入れておいたのが正解で、この夜は冷た。夕方目覚めた時『ゾクッ』としたせいかちょっと喉が変。しかしいつの間にか眠っていた。