8月4日(土)
6:15出発。この時点では風は強かったが雨はそれほどでもなく、希望的観測ながら誰もが徐々に回復するだろうという期待を持って歩き始めたと思われ、花を楽しみながら歩く余裕があった。モモとノゾミはしっかりした歩きぶり,寡黙なシノとは対照的にレイはうるさいほどの元気さである。
7:00,小休止5分。風は一向に収まる気配がなく、雨もパラつく中,雷鳥坂をゆっくり登る。大池から見える一番高いピークを越えると船窪と呼ばれる二重山稜にさしかかる。二重になった山稜の間の窪地はシナノキンバイの咲くお花畑なので、そこで強風を避けて休ませようと思っていたが、立ち入り禁止になっていて入れず、その先に格好の窪地があるのだが、そこは中高年の集団に占領されていて休むに適した場所が得られない。
7:40,登山道から少しだけ黒部側に外れた岩陰に身を寄せて休む。レイは相変わらず元気でうるさいくらいだが、シノの口数が少なく、足どり重くて寒そうなのが気になる。
7:55発。ほどなく小蓮華岳と思われるピークの下を通過する。本来なら登山道は小蓮華岳のピークを通っているのだが、山頂付近で崩落があって立ち入り禁止になっており、登山道はピークを避けていつもより下を通っていた。そのことに気づかず通過したことを後で知る。
強風に加えて時折雨が強く降るようになるとシノの動きがさらに緩慢になり、顔から生気が消えていた。8:20,立ち止まって1枚余分に着せる。その様子を見ていたレイも急に口数が少なくなる。
8:40,再び歩き始めるがレイまで元気がない。ここまで強風に晒され通しで体温を奪われ、また強度のストレスを受け続けてきているので風を避けて体を温め、緊張と不安を和らげる必要を感じ、風のないスペースを探す。
8:50,思い切って登山道を外れ、崖を信州側に少し下がって稜線の陰の風のないスペースに避難する。
稜線からちょっと下がっただけで黒部側からの風がピタリと止み、そうすると吹き曝しの寒さはどこへ行ったかと言うほどの穏やかさに包まれて、それだけで人心地を取り戻すことが出来る。それがその時点で最も必要なことだったのだ。
シノとレイの士気は下がり切っていたが、先ずシノの体を温めることが先決だった。ぬれてはいないようだったが湿っている下着を着替えさせることにする。女性スタッフと3人の子ども達がシノを囲み、イチ・二ノ・サンで下着を脱がせて素早く着せ、その上にシャツとセーター,雨具を着せる。女性スタッフがいてくれたお陰で対応できることだった。
落ち着いたところでシノとレイのそれからの行程について2人の気持ちを確かめる。















