2003年6月15日にスタートした旧四賀村一周境界線ハイキングが完結した。最終回のコースからは全9行程のほぼすべてを望むことができた。

長峰山の山頂に立つと誰もが正面に聳える常念岳の美しい姿と眼下に広がる安曇野に釘づけになり、ため息にも似た賞賛の言葉を発する。かつて川端康成,井上靖,東山魁夷の三文化人がそこに立って絶賛したと言う話しは今も地元の語り草である。
だが、翻って見る東側の景観も負けず劣らず素晴らしい。3000m級の山が珍しくもない信州にあっては決して目立つ高さではないが、戸谷峰から保福寺峠を隔てて入山,御鷹山へと連なる1600mを超えるスカイラインの美しさは格別で、とりわけ朝の逆光に浮かび上がるシルエットが素晴らしい。

その山々が、旧四賀村をすっぽり包み込むように連なっている面白さに気づいてこの計画を思い立ち、スタートしてから5年でようやく出発点に戻った。その間に四賀村が吸収合併されて松本市になり、いちいち『旧』を冠するようになって面倒なことこの上ない。だが『旧』がついていてもいなくても、このコースの面白さは変わらない。
一昨日から急激に気温が下がり、稜線に立つと南側から冷たい風が吹いてくる。小寒い風に晒されて見ると、山々もどこか寒そうに見える。木枯らしが吹いて木の葉の大半を落としてくれたおかげで薮山が幾分明るくなった分だけ寒さを余計に感じるのかもしれない。

狩猟期に入ったばかりの里山は、あちこちで銃声が響いて何やら落ち着かないのが多少の障りになるが、雪に覆われる前の薮山の陽だまりには熟柿になったような幸福感がある。
熟柿になって陽だまりを貪りながら、一巡り完結した安堵感の中でやり残したこと,新たに思いついたことなど考えて次の計画を立てようと思っている。